村上春樹を読むときに聴く3枚

読書するときに音楽を聴きますか?僕は聴きません。どちらか(たいていは音楽の方)に意識が向いてしまうので。それに、特にその世界に浸かりたい小説を読むときは、音楽のせいでなかなか入っていけないなんてことがよくあるじゃないですか。だから読書するときは無音に限る。村上春樹の小説を除いては。

ハルキストであるという自覚はないけれど、僕は彼の書く文章がどの作家のそれより好きだ。現実と非現実の境が曖昧な世界観、哲学的なのかナンセンスなのか分からない箴言、上手いこと表現しているようでよく考えると意味の分からないメタファー、そして所々に出てくる聴いたことのない音楽。10代の僕はそのすべてにやられてしまった。

 

Geogaddi (WARPCD101)

Geogaddi (WARPCD101)

 

 エレクトロニカ・シーンに衝撃を与えた1998年の『music has the right to children』から4年。 ついにboards of canadaのオリジナル・フル・アルバムがリリースされた。ノスタルジックなメロディーとボイス・サンプル、そしてタフなビートによって織りなす独特の幻想的な風景は、本作においても健在。万華鏡による夢幻的な世界が描かれたジャケットさながらに、はかなく美しい曲が次々と展開されていく。

Music Has the Right to ChildrenでもThe Campfire Headphase (WARPCD123)でも差支えないと思う。とにかくこのBoards of Canadaとねじまき鳥クロニクルを読んだときの衝撃ったらなかった。井戸の中で聴くのにこれほど適切な音楽があるだろうか。よく見たらジャケットも井戸っぽいじゃないか。別に村上春樹に合う音楽を探していたわけでもないし、そもそも村上春樹もBoCもどちらも初めて読む・聴くものだった。こういう奇跡が人生で起きるんだな、と思ったのは、それ以後これに勝る衝撃を受けていないからだ。

 

Selected Ambient Works 85-92 [帯解説 / 国内盤] 期間限定廉価盤 (XXBRC237)

Selected Ambient Works 85-92 [帯解説 / 国内盤] 期間限定廉価盤 (XXBRC237)

 

 初期エイフェックス・ツインの代表作にしてモダン・エレクトロニック・ミュージックの源であり、基準。どの家にもあるべき作品と評される名盤中の名盤

BoDと比べるとやや角が立っていて耳に障るかもしれないが、1曲目から聴いてもらえれば違和感なく本の世界に没入できると思う。他の作品はもっと狂気が全面的に出ていて読書どころではないので安心してこの一枚を聴けばよろしい。

 

Chamber Music

Chamber Music

 

エレクトロニカに寄りすぎたので最後はこちらを。チェロとコラ(アフリカの民族楽器)の演者2人による室内音楽。アナログなミニマルテクノと言ってもいいかもしれない。最小限の音数で、間をたっぷりとったフレーズが繰り返される。雄弁な無音。次回作出してくれないのかな。